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ベンチに戻ってきた選手達は一様に疲労していた。
特に河辺の疲労が激しい。
中塚は、沢木に交代を指示。 みんなを座らせてから、頭を下げた。
「すまん。
俺のせいや。
ここまで点差が付いたらもう勝ち負けに拘るんは止めたいと思う。
今まで、練習してきたことを一つひとつ試しとこ」
「はい」
何人かが力なく同意した。
力が入らないのは、疲労の為なのか、諦めに起因するやる気の無さからなのか、その両方なのか、とにかく前半までの一体感はなくなっていた。
4Qが始まる。
コートに力なく出ようとした学に、愛美が声を掛けた。
「学くん、今8点やで、あと1本で二桁行くよ!頑張って!!」
学は、すっかり愛美との賭けのことを忘れていた。
右手を少し上げて、愛美に応えるものの、得点のことはあまり理解出来ずにコートに戻った。
疲労の為、思考能力が極めて低下していた。
ただ茂木を抑えるショーケンの姿だけが、やけに鮮明に記憶していた。
4Qが、始まった。
新谷は、メンバーチェンジを繰り返すことにより、攻守の切り替えを早くする展開を何とか維持し、何とかそれ以上点差を開くことはなかった。
試合終了。
最終スコア。
新谷34-82徳山。
完敗だった。
試合後の挨拶を済ませ、新谷バスケ部は、徳山をあとにした。
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