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店を出て、ガラガラの駐車場の一角で、学たちは丸くなって固まった。
当然、その対角をとって武田と学がいる。
ふたりは、無言のまま睨み合う。
学の方が、背が高い為、武田を見下ろす形になる。
「俺からしたら、どっちの言い分も分かるから、どっちも悪くないように思うけど、とりあえず、先輩に対して武藤の態度はアカン。
そこはまず、キッチリ詫び入れろ」
中塚が、学を見て云ったが、学は武田から視線を逸らさない。
「武田さんは、負けて悔しく無いんスか?
勝ちたく無いんスか?」
「ああ、悔しく無いね。
勝とうとも思わんな。
たかが、玉入れ遊びやんけ。
何をそんなに熱なっとんねん。
キモいのぉ」
「じゃあ、何の為に毎日練習してんスか?」
「暇つぶしに決まってるやんけ!
お前こそ、そんだけ真剣にバスケしたいんやったら、何で最初っから、入部せんかってん?
っちゅうか、何で強豪校に行かんかってん!?
推薦の話があったんやろが!」
武田のその言葉に、学は言葉を失った。
「ほれみろ!
お前かってそんなもんなんや!!
それやのに、真面目に反省会したいだ?
俺ら公立の弱小校がな、どんだけ足掻いたって、先は知れとんねん。
なら、仲ええ奴らと楽しくやった方が、オモロいんちゃうんか!?
だいたい、【試合後の反省会】っちゅうのは、なんぼか足立のオッサンから飯代出させるただの口実なんや。
それをボケが、何も知らんくせに、シャシャリ出やがって」
一気にまくし立てる武田に、一言も学は返せなかった。
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