温度差

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 愛美の言葉に、学は一瞬ドキッとした。   「あれ、今回はナシにせぇへん?    一応、10点以上はとったけど、他があんなんやったし」    学が多少狼狽えながら、そう云うと、すぐ愛美が反論した。   「そんな条件は、決めてなかったんやから、私の負けやよ。    だから、学くんの言うこと何でも聞くよ」    愛美は、懇願するような目で学を見る。    ここで引いては、今回の試合の意味が愛美にとってなくなってしまう。   「けど、今はホンマにして欲しいことも思いつかへんし……」    口ごもる学に、被せるように愛美が詰め寄る。   「ホンマ何でもええよ。    はっきり言って、学くん、今メッチャ落ち込んでるように見えるもん。    そういう時こそ、ウチが学くんの支えになりたいねん。    あんな賭がなかったとしても!!」   「確かに落ち込んでるっていうか、自分のことを不甲斐なくは思ってる。    けど、それは自分で解決せなあかんことやし」   「今のテンションでそんなことホンマにすぐ出来る?」    愛美の言葉に、即座に学は答えれなかった。    しばらく、ふたりを沈黙が包んだ。      いつの間にか、すでに学の家のすぐ近くまで来ていた。    次の角を曲がれば、学の家が見える。    辺りには人影はなく、学よりも高い塀が続いている。    意を決したように、愛美がその沈黙を破った。   「ウチなら、学くんの気分転換の手伝いを出来ると思う」   「どうやって?」   「こうやって!!」    愛美はそう云うと、背伸びをして学の首に手を回すと、学の顔を引き寄せ、自分の唇を重ねた。    学は突然の出来事に戸惑いつつも、柔らかな愛美の唇を感じていた。    学にとって、初めてのキスだった。    愛美の身体が、学に密着してくる。    腹部に唇より柔らかい二つの膨らみを感じると、学の股間が膨張を始め、すぐにそれは最大の大きさとなった。    学の腕からバッグが落ち、自由になった腕を愛美の背中に回し抱き寄せた。    力の加減が分からず、強すぎた為、愛美の顔が苦しみに歪む。    それに気付いた学が、慌てて回した腕を解く。    愛美が、ゆっくりと唇を離し幸せそうに云った。   「放さんといて。学くんの腕の中にいたい」    言い終わるのと同時にまた唇を押し付ける。    学は云われるがまま、今度は加減した力で愛美を抱き寄せた。
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