アルコール叫喚

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とりあえず靴を脱ぎ、一応声をかけてみた。 「コウ! いねぇのかー?」 当然のように返答はないが、廊下を進みリビングへと向かうと、天気予報のアナウンスが流れるテレビの光が、扉の向こうを薄暗く照らしていた。 そこを開いてみると、酒好きの俺ですら不快になるほどに、強烈なアルコールの匂いに見舞われた。 くせぇ……つーか、うーるっせぇ…… 耳を塞いでも塞ぎきれないほどの音声にまいって電源を切って振り返る。 「いるじゃねぇか。……何やってんだ」 ソファからテーブルに足を投げ出したコウが、グラス片手に酔いつぶれていた。泥酔…… 弱いくせにどんだけ飲んでんだてめぇ、そう突っ込む気もおきねぇな。 何本も転がっているほどの酒瓶を見れば、数えるまでもなくその量は明白だが、こいつは本当に弱い。それを自分で分かっているから、どんな席でも出された酒には最初の一口しか含まない。 それを考えるとこいつがこうまでなるには、それなりの理由があるんだろうが…… てめぇが起きたらまずは説教だ。覚悟しとけクソガキ。
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