アルコール叫喚

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コウを寝室のベッドに放り投げ、そこら辺のゴミを拾い集める。コンビニの袋から溢れ出ている空になった弁当やカップ麺といった、食いカスや空瓶をゴミ袋に突っ込み、食器を流し台に持っていき、脱ぎ散らかした服を洗濯機に投げ入れた。 何日も前から飲んだくれてやがったのかよ。 人の電話もシカトしまくりやがって、挙げ句の果てには、携帯の電池切れとはふざけるのも大概にしろ。 ───俺も俺で放っときゃいいのに、女の相手をしている時ですらコウの顔がチラつく始末で。 俺にそんな態度をとるとは……あんまり調子にのってっから、文句の一つも言ってやろうと思っていた。が、あまりに長く続くので心配になり、様子を見に来てみればどうだ、この有り様は。 いったい何があったのかは知らねぇが、くだらねぇ漫画並の状況に陥ってんじゃねぇよ。 何が悲しくて深夜にてめぇの部屋の掃除をしなくちゃいけねぇんだ、この俺が。 ……これで本当にくだらねぇ理由を言ってみろ。容赦なく地獄まで送り届けてやる。 そうこうしているうちに、とりあえず見れる部屋にはなった。 喉が渇いて冷蔵庫を覗くと、詮の開いた缶ビールとミネラルウォーター、マヨネーズしかない。……まともに飯食ってんのか。 「まっじい……」 飲みかけたままにすんじゃねぇよ。ビールは立派な酒だが炭酸の抜けきったこれは、アルコールは入っているにせよ、くそ不味いソフトドリンクも同然だ。
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