アルコール叫喚

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寒さにやられて身震いをした拍子に目が覚めた。 見慣れない天井。───どこだ? ああ……昨夜はあのまま不味いビールを飲みながら寝てしまっていたのか。 寒いわけだ、この真冬に毛布一枚かけてねぇんだから。 仕事あがりで女とホテルに行って、そのまま直行したから格好まで昨日のスーツのままだった。正確には、ジャケットは脱いでカッターシャツ一枚だ。そりゃ寒いっつーの。 スッキリしねぇ頭と目が痛む。ああくそ胸くそワリィ…… 寝室に様子を見に行くと、ぬくぬくと布団にくるまってすやすやと寝ている顔があった。自分だけ気持ち良さげに寝てんじゃねぇよクソガキ。 ベッドに腰を下ろしコウを見る。 あの頃のままだな……俺の後ろをチョコチョコと追いかけていた頃と同じ寝顔だ。 二十歳になったと言っても年齢が成人に達しただけで、中身はガキのまま。飲めやしねぇくせに無理に体に入れんじゃねぇよ。 とりあえず今日が土曜で良かった。こんな状態のコウを一人で置いとくのも気が引ける。 他の奴も受け付けていないのか、俺だけを避けていたのか。後者であるなら俺が聞いたとこで理由を言うかは謎だが…… 俺がここでごちゃごちゃと考えたところで無駄だろうな。いったん着替えに帰るか。
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