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「……はい。勝手に勘違いして騒いでしまい、申し訳ありませんでした」
渡は本当に申し訳なさそうに、頭を下げて謝る。すると、目の前にいるゴミ箱と一体化した人物は苦笑を浮かべた。暗くて分からないが、声的にはそうだろう。
「いや、いいさ。確かに僕も、こんな所で得体の知れないモノに話しかけられたら、警戒するだろうからな。別に気にしなくてもいい」
この人物が優しい人でよかったと、渡は心の底からそう思い、安堵の息をついた。
「それでなんだが、助けてくれないか?」
渡の落ち着いた様子を見て、目の前にいる人物がそう言ってきた。その言葉で、渡は先程助けてほしいと言っていたことを思い出す。
落ち着きを取り戻した渡は、困っているのなら助けようと、今度は迷うことなく頷いた。
「あ、うん。オレでよければ手伝うよ」
「すまない、助かる」
渡が了承してくれたことに、ゴミ箱に突き刺さった人物が安堵の息をついたことが分かった。
「それじゃあ、オレはどうすればいい?」
そんな安堵の息をついている様子を見れば、相当大変だったのだろうと思い、もっと早めに手伝えばよかったと思いながらそう訊ねる。
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