子守唄を貴方に。

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「ん、どした。眠れないのか?」 「……トイレ」 「そか、ちゃんと寝ろよ?」 「本当は、トイレなんかじゃ、なく、て……グスッ、ズッ」 「ぅおい! 一体どうしたのよ」 「今日、約束してたんでしょ? 女の人と……グスッ」 「……」 「でも今日行かなかった……! 私のせいで……」 「なな、こ……」 「私、本当に此処に居て、良いんですか?」 「お母さん達が死んで、本当は、おにいちゃんは1人で暮らしてたのに……」 「私は、邪魔ですか……?」 「私は、要らない子なんですか……?」 「私は……」 「もういい」 「もう、言うな」 「おにい、ちゃん」 「俺の意志より、お前の意志のほうが大事だ。お前は、此処に居たいか?」 「私は、此処に居たい……ずっと、おにいちゃんと、暮らしてたい」 「なら迷う必要なんて無いさ、ずっと此処に居たらいいじゃないか」 「私、此処に居て、良いの?」 「泊めたくもない奴を泊めるほど俺はお人好しじゃない。だから、心配すんな」 「おにい、ちゃ……」 「あー判った判った、泣くなって、俺が特別に子守唄を歌ってやるから」 「本当?!」 「ああ、あまーいバラードを聴かせてやんよ」 「えー、ハードなロックがいいなー」 「バカか、子守唄にロックを歌う奴なんか……」 「まあ、いいか」
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