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戦闘が始まる少し前、王国軍と魔物の大群が対峙しているのを少し離れた崖の上から眺めている青年がいた。
近くの岩に腰を下ろし、片手には鞘に収めた2m近い日本刀を握っている。身長は大体190㎝くらいか。ロングコートを来ていて、膝辺りまである長髪が風になびいている。
青年「……もうすぐ始まるか。……レイ、準備をしておけよ。そろそろ出る」
青年が話し掛けると、いつの間にいたのか、可愛らしい女の子が青年の後ろに立っていた。
ニコニコと笑っていて、背中まである金髪を揺らしながら青年に歩み寄る。しかしその手には、少女にはあまりに不釣り合いな巨大な斧を持っていた。
レイ「アモン、すごい楽しみだよ♪こんなにたくさん出てきたのって久しぶりだから」
遊園地にでも行くようにはしゃぐレイ。青年――アモンはふぅ、とため息をついてゆっくりと立ち上がった。レイとアモンが並ぶと、大人と子供のような身長差がある。
戦闘が始まり、魔物の奇声と軍の怒声が入り交じった声が響いてくる。
しばらく均衡状態だった戦闘が、やがて徐々に軍が劣勢になっていった。少しずつ後退していく王国軍。
兵士「指揮官殿!報告します!第一部隊、第二部隊、第六部隊壊滅!第三、第四、第五部隊もすでに半数が戦死!救援要請を出しております!」
指揮官「おのれぃ!化け物共め!」
ほとんどの部隊が壊滅し、もはや全滅も時間の問題となっている。
その様子を見ていたアモンが呟く。
アモン「……行くぞ」
それをレイが聞き逃さずに頷くと、アモンは鞘から日本刀を一気に抜き放ち、崖の下に飛び降り魔物の中へと突っ込んでいく。
レイも後に続いて突っ込む。その顔に至福の笑みを浮かべて。
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