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「ええ、承りました。それではユオンさまの噂に聞きし御力、しかとこの目で見させていただきますね」
そう言えば、レイラさんの前ではまともに剣を振るったことはなかったな。
あまりがっかりさせなければ良いのだが。
「あ、レイラさん。それなら一つ忠告です」
「忠告、ですか?」
聞き返すレイラさんに、ナユはにっこりと微笑んで言う。
「本当に師匠の戦いを見ようと思うのなら、戦いは師匠に任せて、全神経を師匠の動きに集中させてください。もしかしたらそれでも何が起こったのか分からないかもしれないですけど、でもそうしないと始まらないくらい、師匠の本気の剣は圧倒的に強くて速いです。気をつけてくださいね」
「これまで見せて頂いたナユさんとの稽古の時よりも、ということですね」
「それはそうですよ。稽古の時はわたしに合わせて剣を振るってくれていますから、本気の剣には程遠いです。まあその剣でさえわたしにはよく見えないんですが、でもこう言えば師匠のすごさは分かってもらえますよね?」
「ええ、ですがそれではユオンさまのご迷惑になるのでは……」
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