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俺がナユを相手に、本当の意味で全力を出せる日が来ることはないだろう。
ナユがそれに足る存在になれないという意味ではない。
俺がナユを相手に、殺気を込めた剣を振るえるはずがないからだ。
加減が生じれば、自ずと剣も鈍る。
けれど、加減の必要がない相手ならば、俺は……、
「一応確認しておこう。アンタと一緒に居た娘の一人が、オルカ王国第一王女、ソフィア・セムネ・ナム・オルカに間違いないな?」
数はおよそ十五。
各々の身なりや発する気配はバラバラで、明らかに正規兵のそれではない。
それなりに場数を踏んでいるであろうことは疑う余地もないが、皆が皆己の腕っぷしを主張し合っていて、まとまりがまるで感じられないのだ。
傭兵……それも一個の傭兵団ではなく、個別に雇われた者である可能性が高い。
敵方が親王派との戦に備えて、他国からも傭兵を招き入れて戦力の増強を図ったというのは理解できる話だ。
だが、奴らにとってソフィの存在は最大の懸案事項のはず。
それを正規兵ではなく信頼の置けない傭兵に任せるとは、これではソフィの存在は大きな障害には成り得ないと言っているようなものではないか。
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