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真っ赤に燃えたぎる炎に照らし出され、銀色に輝く髪の下の純粋に綺麗な顔立ち。
華奢にさえ見える身体つきなのに、とても安心する温もり。
こんなにも儚げで貴くて、わたしには分不相応な匂いのする貴方が、どうして……。
「酷過ぎるよ、こんなの」
ずるい、と思う。
世界は残酷だ。
絶望しかないのなら憎むだけでいられるのに、救いを見せるから憎み切れない。
明日を期待してしまう。
みんなを犠牲にして生き残ったわたしに、そんな資格なんてあるはずがないのに。
「ううっ、あああっ……」
それとも、許されるのだろうか?
わたしなんかにまた明日を期待することが。
みんなの分まで笑って生きるなんて甘い考えが。
憎しみだけを寄りどころにしない、そんな人としての当たり前の生き方が。
もしまだわたしに自らの意思で道を選んで生きることが許されるのであれば、
「わたし、は……」
強くなりたい。
たった一振りの剣で深い闇の底からわたしを救い出してくれた、この人のように。
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