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「それはあれだけ呑めばそうなるだろうさ。水でも飲むか?」
「すみません、いただきます」
俺は寝台から降りて、備え付けの水瓶から杯にすくってナユへと手渡す。
ナユはゆっくりとそれを飲み干すと、一応気休めにはなったらしく、少しは気分の良さそうな顔色になった。
「ソフィアさんの部屋には?」
「ああ、さっき行ってきた。明朝すぐに出立するというのは、難しいだろうな」
だが、長期の逗留はその分危険も大きくなる。
追っ手は断ったが、いつまた発見されるか、どこから情報が漏れるかも分からない。
最悪ソフィだけを連れて行くという手もあるが、あの様子だとソフィはレイラさんと離れるのを認めはしないだろう。
「今日みたいに師匠がレイラさんを背負って行けばいいじゃないですか」
「レイラさんを説得するのに骨が折れそうだが、それが一番現実的か……」
ソフィとの再会を済ませ、ひとまずはここ港町スリーネに向かおうという話になった時の光景が脳裏に蘇る。
唯一の男手である俺が歩くのも辛そうにしていたレイラさんを背負って行くのは道理であると思えるのだが、レイラさんは頑として恐れ多い、自分で歩くと了承してくれなかった。
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