第二章 港町スリーネ

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「おはようソフィ、レイラさんもおはようございます。もう起きて大丈夫なんですか?」 「ええ、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」  レイラさんは寝台で上半身だけを起こしていた。  今朝方ソフィが変えたらしく、彼女の腕には真新しい包帯が巻かれている。  包帯の出所は昨日レイラさんを診てくれた医者だ。  ソフィは旧知の相手だから心配はないと言っていたが、彼から情報が漏れることも考えた方がいいのだろうな。 「可能なら今夜にでも発ちたいと思っています。行けそうですか?」 「ユオンお兄さま、それは……!」  単刀直入に話を切り出した俺にソフィが抗議の声を上げたが、レイラさんがそれを制した。  ここに留まる危険を誰よりも恐れているのは、他ならぬレイラさんなのだ。  赤みが差した顔を見れば、レイラさんの言葉とは裏腹に万全からは程遠いのは分かる。  だがソフィの安全を考慮すれば、一ヶ所で時を費やすのはやはり危険が大きい。  多少の無理は通してでも、ここは動くべきだ。 「しかしユオンさま、何故夜まで待たれるのですか? 私のことならば案ずるには値しません。すぐにでも動けますし、もしも邪魔になるとお考えでしたらこの場にて斬って捨てていただいても――」
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