OPENING-朝日ガ西カラ昇ル-

11/11
前へ
/24ページ
次へ
「二人ともよくあの階段をあんなに速く上れるな…。実に…信じ難し!」 時成は息切れ切れに言った。腰に手を当ててストレッチを始める。 「腰痛ぇー…」 「年考えろよ、じいちゃん…」 腰がボキボキメキメキと凄い音を立てた。 「ちょうどよい、時成さん。たった今彼に全て伝えた」 時成は腰を鳴らすのを止めた。 「…そうか」 そして呟くように言った。 「いやいやいやいや」 二人の会話に、時兎が割って入る。 「何か?」 「こらウサギ、すっとぼけんな![全て]って何だよ!?まだ解らないコトだらけだぞ!!」 「案ずるな。細かなことは後ほどもう一人のスパークルと一緒に説明してやる」 ぺぺは時兎に手を差し出した。 「さぁ…共に行こう、少年。ここはもはや安全ではない」 「そうだぞ、時兎!」 時成は時兎の腕を掴み、差し出されたぺぺの掌へ無理矢理重ねた。 「行きなさい…てか、行け」 「行くって…はぁ!?」 「そんなこと…決まっている」 部屋が急に暗くなり、床が光りだした。風が渦巻き、二人を包む。 「え!?な…何!?」 光の間に一瞬だけ…一歩離れた時成を見た。いつもは見せない、悲しげな顔を見た気がした。 「では行くぞ!T・Cの本部へ!」 ―そして…辺りは見えなくなった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加