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「二人ともよくあの階段をあんなに速く上れるな…。実に…信じ難し!」
時成は息切れ切れに言った。腰に手を当ててストレッチを始める。
「腰痛ぇー…」
「年考えろよ、じいちゃん…」
腰がボキボキメキメキと凄い音を立てた。
「ちょうどよい、時成さん。たった今彼に全て伝えた」
時成は腰を鳴らすのを止めた。
「…そうか」
そして呟くように言った。
「いやいやいやいや」
二人の会話に、時兎が割って入る。
「何か?」
「こらウサギ、すっとぼけんな![全て]って何だよ!?まだ解らないコトだらけだぞ!!」
「案ずるな。細かなことは後ほどもう一人のスパークルと一緒に説明してやる」
ぺぺは時兎に手を差し出した。
「さぁ…共に行こう、少年。ここはもはや安全ではない」
「そうだぞ、時兎!」
時成は時兎の腕を掴み、差し出されたぺぺの掌へ無理矢理重ねた。
「行きなさい…てか、行け」
「行くって…はぁ!?」
「そんなこと…決まっている」
部屋が急に暗くなり、床が光りだした。風が渦巻き、二人を包む。
「え!?な…何!?」
光の間に一瞬だけ…一歩離れた時成を見た。いつもは見せない、悲しげな顔を見た気がした。
「では行くぞ!T・Cの本部へ!」
―そして…辺りは見えなくなった。
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