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しかし、片山の台詞は別の意味で魅力的だった。
「マネキン」の役割にしても、いつまでも続けられるものではないだろう。
いくら販売で利益をもたらそうとも、それは会社にしてみれば微々たるものに過ぎない。
膨大な会社会計の中では、雛子の実績など簡単に埋もれてしまう。
今の雛子にとって、「正社員」の切符は是非とも手に入れたいものであった。
「この後、場所を移して打ち上げの席を設けているんだが、君もどうだい?」
片山の台詞は、正に渡りに舟であった。
「ご一緒して構わないのなら、是非お供させて下さい。」
ビジネスライクな微笑みを片山に向けた。
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