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「なんだよ…この街……」
俺は疲れた足を止めて、ぐるりと辺りを見渡した。
…ばかみたいに広いくせに、人は見当たらないし案内板も見当たらない。
休もうにも宿屋だって見つからないし、飯屋だってない。
大事な事だからもう一度言う。
……なんだよ、この街。
「はぁあ…」
…ため息つくのもこれで何十回目になんのか、もう自分でも解らない。
せめて人がいたら道なり宿屋なり飯屋なり、なんでも聞けただろうに。
「……こんなまだ真っ暗な時間に、人がいる方がおかしいんだよなぁ…」
にしても…
ぐるぐるぐるぐる、同じとこばっか歩いてる気がする。さすがに体力自慢の俺だって疲れ──‥‥
「ねぇ」
「……?」
すぐ近くで、女の子の声がした。けど誰もいない。
疲れすぎて幻聴まで聞こえてきたのか。
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