デカイ街と小さな2人

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「あ。ちなみに 宿屋はそこね。あと定食屋はその角にあるわよ」 「ええっ!!?」 「街の案内板もたくさんあるはずよ?ほら、そこにも」 「うそだろ!!?」 ……うそじゃなかった。 店前に立ってる看板にはきちんと宿屋と書いてあるし、飯屋だって存在してる。 案内板もしっかりとそこに立っていた。 「………俺のしてきた事っていったい……」 泣く。 これは泣く。 「…まぁまぁ。 初めてこの街に来た人には極たまによくあることよ」 ………笑いながら言われたって慰められた気にはならない。 「……あなた、この街の人じゃないのよね?えっと……」 「ん?」 「…なんて呼べばいいかしら?」 …あぁ、名前か。 そう言えば自己紹介をしてなかった。 「……ラルフだよ。」 「ラルフね、よろしく。 ……見たところ1人のようだけど、仲間はいないのかしら?」 「…ああ、1人でこの街に来た」 「人は見かけによらないのね。 あなたってば、魔物に出会ったら一番に食べられちゃいそうだもの」 あーそうだよな。 俺もそう思う……っておい。 「あのな!さっきから、しっ、失礼だぞおまえ!!」 「あはは、冗談よ! どこから来たのかは知らないけれど意外と腕はたつのね、ラルフって」 「………。」 意外と、かよ。 ……こんな年下の女の子にまでからかわれるなんて。
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