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「そうだったんだ。気付かなくてごめんね。僕って女子とはあまり交流が無いからさぁ。少ししか覚えてなくて……」
「いいよいいよ。じゃあ、今日この瞬間から覚えてね」
そう言って真実子はニッコリと優しい微笑みを見せてくれた。それにしても、真実子はクラスであまり目立たない存在なのだろうか。普段の僕は、席に着いて読書をしているのが大半なのだが、その際に耳を劈くような声を上げて騒いでいる女子が多くて、僕はいつも欝陶しく思ってしまう。しかし真実子は違った。
真実子の一言一言は年齢不相応に落ち着いていて、聞いているだけで心が落ち着くようだ。普段聞いている、ただ苛立たせるだけの女子の声とは天と地ほどの差だ。僕にとっては、必要以上にテンションを高くして話し掛けられる時ほど癪に障る時は無い。そういった意味においては、真実子に好感を持てた。
「覚えておくよ、宜しく!」
「はは、なんかギャップ感じちゃう。勇君って意外とノリが良いんだね。もっとぶっきらぼうな性格だと思ってたよ~」
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