出会いと別れ

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「なっ!? 失礼な。僕は話し掛けられたら、それなりの態度で示すんだからね。そんな冷たい人間じゃないさ」  まったく……真実子と話してると、なんか調子が狂っちゃうなぁ。何と言うか、ゆったりとした口調だから真実子ペースで物事が運ばれそうだ。 「ごめんごめん。いやぁ~、でも勇君と話そうと思っても中々話し掛けられなくて……。だから今、勇君と話せてるのがとっても嬉しいよぉ~」  この瞬間、僕の胸がドキッと音を立てて高鳴った気がした。真実子が僕と話せてるのが嬉しいと言った事が、やけに大きく聞こえたのだ。そんな事を小夜子に言われた事はあっても、たった今友達になった女子に言われた事なんて今までにない。そんな事を言われたくらいで、心を踊らせてしまう僕は馬鹿なのだろうか。……いや、僕とは言わず男であれば、気持が高ぶることはあるだろう。しかし、それは男の悪い癖なのかもしれない。 「じ、じゃあさ。携帯のアドレス交換する?」 「本当に!? 是非とも! もしかして、うちのクラスで勇君のアドレスをゲットするの、私が初めてじゃないかなぁ?」  まぁ小夜子は別のクラスだし、確かにうちのクラスの女子にアドレスを教えるのは真実子が初めてだよ。でも実際のところ、気の合いそうな女子なんて居ないと思ってたんだけどね……。
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