出会いと別れ

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「そうかい。でも、残念ながら僕は暇じゃないんだよ。これから図書館に行って、勉強する予定なんだ。だから、また時間のある時に誘ってくれ」  それを聞いた亮太は、肩を落として小さく溜息をついた。先程の高ぶらせていた気持を、一気に落としてしまったようだ。その様子を見ると、やっぱり一緒に遊んだ方が良いのかなと思ってしまう。 「仕方ねぇーなぁ。お前はちょっと真面目過ぎだよ。たまに息抜きしなきゃ、心から老けていっちまうぜ? まぁでも、お前の邪魔するのも悪いしな。じゃあ俺は一人でゲーセンに行かせてもらうぜ」  亮太は肩に提げた鞄を揺らしながら、僕の前から走り去って行った。亮太のこんな姿を見る度に、忙しない奴だと思ってしまう。でも、こんな僕にも親友と呼べる友達が亮太だから、友達でいてくれる事に感謝するべきなのだろう。        ◆  僕は暫く歩いて図書館にたどり着いた。表口の自動ドアから中に入ると、外の空間とはまるっきり別物になる。内部はしんと閑散としていて、殆ど音が感じられない事が不思議と落ち着く。
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