突然

出会いと別れ

　僕は自習室というネームプレートが扉に貼られている部屋に、真っ直ぐと歩みを進めた。透明の扉に近付いてみると、室内にはあまり人が見受けられない。中年の男性が一人と、同い年くらいの女子生徒が一人いるようだ。二人は二つある長いテーブルを別々に使用している。

　僕は扉を開けて、女子生徒と同じテーブルに向かった。女子生徒とは対角線上にいて、故意に覗かない限りは目を合わすこともないだろう。僕は席に着き、鞄の中から勉強道具を取り出した。高校生は定期試験やら模擬試験やらで、テストが嵐のようにあるから辛いものだ。まぁ、試験を受けるのは高校生の運命って奴なんだろうから、仕方ない事なんだ。

　鞄から取り出した数学の問題集を解き進めていくと、簡単には解けない難問に出会った。僕自身は割と数学が得意なんだけれけども、流石に苦手な箇所や得意な箇所がある。今は数列という問題を解いているんだが、これがまた厄介。漸化式だの数学的帰納法だの、僕にとっては複雑で理解に苦しんでしまう。そもそも、数学の先生の授業がつまらな過ぎて、殆ど頭に入っていない。僕は気分転換の為に自習室から退室した。