ある歌姫、恐怖

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流「れぇ…た、ぁッ!!」 意識を手放さないように 必死に声を上げた。 …でも、もう駄目かも。 オレのバンドのメンバーに殺されんのか。 オレが戒くんをメンバーにしなきゃ、こんな事なんか起こらなかった? そもそもバンドなんか組まなかったら… 嗚呼もっと素直になっときゃよかった。 小岩井冷蔵庫にしまいっぱなしだ。 今更になってどうにもならない後悔が押し寄せてきた。 ─ギィ‥ 「おい、長くない?」 ドアが開いた瞬間に オレの喉を抑えてたものがなくなった。 流「─ッかはっ、ゲホゲホッ」 戒「きぃちゃん大丈夫!?」 戒くんがオレの背中をさすり、襟がついたジャケットをかけてくれた。 ちくしょー てめぇがやったんだろうが。 …でも死ななくてよかった 玲「なんだルキ泣いてんのか?」 戒「なんか具合悪くなっちゃったみたい」 玲「ったく、しょうがねぇな」 ドアを開けたのは玲汰だった。 さっきはあんなに素っ気なかったのによ。 意味わかんねぇ 震える腕で玲汰に必死にしがみついた。 みっともないって分かってる。 でも今は独りじゃこわい 玲「…どうした?」 流「ヒック、うぅっ‥グス」 玲「よしよし、泣くな泣くな。」 玲汰がオレをぎゅっと抱き締める。 離さないで、 独りじゃこわいから 独りにしないで。
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