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はじめに
小説を書こうとするとき、いつもきまって君のことばかり思い出すよ。
どうしてかな。
でも答えなんてとっくに解ってる。
僕の中で燻り続けている感情。
忘れようとしても忘れられないたくさんの思い。
そんなたくさんの星のカケラが、この夜を終わらせてくれないからだ。
人混みを歩くのが苦手で、通り行く人とすぐにぶつかりそうになる君。
文句を言おうにも、いつも言葉を飲み込んでしまう君。
でも何故か、僕だけには何でも言いたいことを言えてしまう君。
最後、別れ行くときの人混みに消え行く儚げな君の背中。
あの頃の僕たちは何より不器用で、でも誰よりもお互いが大切で、どんな時よりも輝いて見える。
僕の見送った君の背中、今もまだ僕の心に咲き続けてるよ。
あの時そっと飲み込んだ言葉も。
ずっと忘れようと頑張っていたけどダメだった。
だから忘れないことに決めたよ。君の事を書くことに決めたんだ。
僕がずっと困っていた君の置き所。
宵に輝きを放ち、明けにそっと宵を待つまでの、いちばん星が帰る場所。
不思議だね。こうして書きだしてみると、僕の気持ちも何だか落ち着いてきたよ。
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