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家に着くと、久が帰っていた。
「おかえり。今日は会議だったから、早く帰ってきたんだ」
「そうなんだ。私は会社に顔出して、打ち合わせ」
そこまで話した時に、こはるとひよりが眼を覚まして、泣き出した。
久と今日子は、二人を抱き上げた。
「たぶんお腹が空いたんだと思う。ミルク作って」
「うん、わかった。んじゃ、ちょっとお母ちゃんのところで待っててね」
今日子にはわかっていた。久は男兄弟だけで育ったから、二人の娘がかわいくて仕方ないのだ。
でも、久がこんなに変わるとは思っても見なかった。
「は~い。ミルクが出来たよ」
と一本を渡され、二人で授乳した。こはるとひよりは飲み終えて、オムツを替えると、満たされて、また眠ってしまった。
今日子は、ふと思った。…こうして適度に人に振り回されて生きるのも楽しいかもしれない…
そして娘たちの寝顔を見ながら、寝てしまった。
「外出して疲れたんだな。仕方ないな…」
そう言いながら、今日子にそっと毛布を掛けた。今日子は、それをとても心地よく感じながら、深い眠りに入った。
窓からの優しい日差しが部屋と四人を満たしていたのだった。
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