タカシとマナミ

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喧嘩が強いわけじゃない。 やられる前にやってるから負けないだけ。 だから相手が3人以上いると多分負ける。 友達曰く、俺のキック力は強いからそれだけで2人は簡単だとのこと。 ふいにチャイムが鳴る。 「え、もう昼休み終わり…?」 緊張してると時間が経つのが早いっていうのは本当だったらしい。 喧嘩が怖くないなんて嘘は言えない。 だからこそ絡まれるたびに委縮してしまうのも否定出来ない。 出来れば次こそは絡まれないでゆっくり読書がしたい、そう思いながら蹴り飛ばした彼を跨いで教室へと向かう。 廊下を少し小走りで駆ける。 すると窓の外に一人の生徒がいることに気付いた。 後ろ姿からすると女子だろう。 チャイムが鳴ってるのにそんな所にいていいのだろうか。 声を掛けようと一瞬思ったが、すぐに止めた。 見知らぬ相手にそんなことをしてやる義理もないし、高校生ならチャイムが鳴った意味くらい言われなくても分かるだろう。 気にはなったが、そのまま素通りして教室のドアを開ける。
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