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「ねぇ聞いた？ 先輩の片瀬さん吹き抜けになってる中庭で倒れて病院運ばれたって」
６限目とＳＨＲの間にそれは耳に入ってきた。
「また片瀬先輩？ あの人、虐められる天才だね。この前も放課後から朝にかけて倉庫に閉じ込められてたし」
「倉庫って裏の？ あそこなら叫べば見回りやってる警備員に気付いてもらえるじゃん」
吹き抜けの中庭って言ったらさっき俺が素通りした所じゃないか。
「あの人、大声出すとか死んでもしないと思うよ。だって同じ部活なのに声すら聞いたことないもん」
クラスの女子に片瀬と呼ばれている人はおそらく片瀬真奈美だろう。
とは言っても図書室でたまに見かける程度のほぼ他人な関係なわけで、向こうは俺のことすら知らないはずだ。
「で、今回はどんなことされたの？ 中庭じゃあ目立った虐めは出来ないと思うけど」
俺と同じ本を読んでいたから少し興味が湧き、名前までは調べたが、それ以上のことはする気にならなかった。
「今回は酷いよ。裸足にさせて、その状態で瞬間接着剤で固定済みの上履き履かせたみたい。もちろん中にもたっぷりね。片瀬先輩ってば誰にも助け求めないで、無理矢理剥がすもんだから足の皮全部持ってかれちゃうし、そのままバランス崩して頭打っちゃうしで気絶しちゃったみたい」
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