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「親父、片瀬真奈美ってやつここに運ばれてこなかった?」
俺が開口一番にそんなこと言うもんだから親父は呆気に取られてキョトンとしていた。
「誰だって? 俺が病院全体を把握してると思ったら大間違いだぞ」
話にならない。
最初から受付で聞けばよかったんだ。
受付へと向かう際中、ここの患者の女の子に走るなと注意された。
「片瀬さんならさっきまで皮膚科で診てもらってたんでもう病室に移動してると思いますよ。403号室です」
感謝の言葉を簡単に述べ、403号室へと走る。
そしてまた同じ子に注意をされた。
学習能力がなくてごめんな。
しかし、いざ病室の前まで来て足が止まる。
なんとかなると思っていたが、やはり何と言っていいのか分からない。
元気?
好きな本とかある?
具合はどう?
偶然だね。
今日は晴れだよ。
友達になりませんか?
「あの、少し避けてもらっていいですか?」
片瀬へ掛ける言葉を模索していると背後から遠慮がちにそう言われた。
「あ、すいませ…」
声主は、車イスに腰掛けた片瀬だった。
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