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「なんだあれ」
郁也が窓の外を見ながらぽつりと呟いた。
その視線の先を追うとそこには見知らぬ男子生徒と、見知った女子生徒が鬼ごっこみたいなことをしていた。
「あぁ、桜木さんでしょ」
男子生徒の名前は分からないがもう一人は分かる。
もう学校じゃ有名人だ。
桜木由香、確かC組だったかな。
「それは知ってる。アレ一応、俺のクラスメイト」
意外だった。
ということは郁也もC組なわけだ。
「なんだ、知ってるんじゃないか」
クラスメイトだったら桜木さんの噂だって知ってるだろうに。
「そうじゃなくて、あいつの持ってるのって包丁じゃないの?」
つまりついに行動に出たってことだ。
「うん、そうだよ」
桜木由香の噂。
「なんで?」
郁也が相変わらず眠たそうな目でこちらを見る。
「なんでって?」
「包丁、あの男子殺すつもりなの?」
「そうだと思うよ」
「なんで?」
ついつい知っているものだと思って話をしていたから少し戸惑う。
「郁也は桜木さんの噂聞いたことないの?」
「どんな?」
「個人情報の流布。産まれたままの姿の画像付きでね」
「ふーん」
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