一つの別れ

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接待はいつも以上に盛り上がりスポンサーさんは満足してくれた 部長からも誉められて、いつもの私なら喜びに満たされるはず… でも全然うれしくなかった。ざわめくみんなの声が遠く聞こえる 私は慌てて化粧室に行き顔に水をかけた 冷たい春先の水は十分私の目を覚ましてくれた 私は化粧直しをしてまたデスクに戻る 山ほどの資料があり、私は一つづつ目を通す。間違いがあれば訂正したり、疑問があればパソコンで徹底的に調べる 毎日してるこの作業さえ、私はなんとなく虚しくなってきた…それでも平常心を保てる女は誰が見ても、気の強い、キャリアウーマンに見えるだろう ダイアナの高いハイヒールを履き、私はカツカツと会社を歩く、走る、エレベーターに飛び乗る 大声で叫びたかった 『私は仕事のせいで男にフラれた格好悪い30前の女デスよ~!』って…
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