第1章~その名はクッキー~

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『きゃっ!』  突然、アジェッタは床に勢いよく尻餅をついた。 どうやら椅子の脚が壊れたみたいだ。 『大丈夫か?』 『は、はい。大丈夫です……』  アジェッタは立ち上がると、スカートについた汚れをパンパンと叩いて落とし、少し疲れたようにため息をついた。  その表情を見ていると、何故かこちらも気分が下がってくる。  男は何か話題を捜そうと辺りを見渡した。 そういえば、この部屋の事をまだ聞いてなかったな。 『一つだけ、聞いてもいいか?』 『何ですか?』 『この部屋はキミの部屋だよな?』 『はい、ここは私の部屋ですよ。物凄く散らかってますけど、私がやったわけじゃないんです……』  やはり、そうだろうな。
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