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ノタリコン魔術学園第三区東ゲート。人呼んで“公衆便所”。
歴史ある魔術学園で、“コソドロに一番侵入されやすいゲートランキング”で堂々の一位を獲得した学園長のお墨付きのゲートだ。
そんなゲートの門番に一週間前に志願し、昨日ようやく配備されたばかりの新人の男がいた。
現在深夜5時過ぎ。
学園内の魔術師が全員就寝している時間に、男はある者達をこのゲートに通さなくてはならない。
リルト盗賊団。実はこの男、その小さな盗賊団で名も呼ばれぬ下っ端をしている。と言っても男には元々、盗賊団に入る前の記憶がないので、自分の名前も憶えてないのだが。
男の目的は学園に門番として嫌々志願し、東ゲートで盗賊団と合流して魔術学園に侵入させることだったのだ。
リルト盗賊団は魔術学園にあると言われるお宝を目当てにしているらしい。
どんなものかは知らされてないが、とにかくもの凄いお宝だと男は聞かされた。
『眠たい』
それにしても、遅すぎる。予定ではもう到着しているはずなのに、盗賊団たちが来る気配がない。
「……まだかな」
十分待ってみた。まだ来ない。
三十分待ってみた。全然来ない。
更に一時間待った。夜が明けた。
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