第1章~その名はクッキー~

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 まずいな。  防具はボロボロ、武器も無し、このままでは確実に殺られる。  こうなったら、  全力で説得するしかない。 『待て、その前に話しを聞いてくれ』 『風弾』  男はニールに無視されても、横に飛びながら風の弾丸をかわし、話しかけ続ける。 『お前は勘違いをしている』 『風弾』 『俺はアジェッタに何もしていない』 『風弾』 『確かに泣いた原因は俺が作ったのかもしれないが、アジェッタには一つも危害は加えていない』 『風だ(略』 『それに、俺とアジェッタは友達だ』 『ふ……っ』  突然、ニールは魔術の詠唱を止めてしまった。 かわりに、何か別の言葉をブツブツと呟いている。 『……す』 『ん?』 『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す――』  うわぁ。
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