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もう遅いとかそう言う問題ではない。団長達に何かあったに違いない。
そう思い、男が盗賊団のいる近くの村に向かおうとした時、遠くから二人の少年が歩いてきた。
一人は眼鏡を掛けた少年、もう一人も眼鏡を掛けた同じ顔の少年。双子だった。
服装から見て、どうやらこの学園の生徒のようだ。
眼鏡魔術師たちが、ゲートを開けた男の隣を通り過ぎた時、二人の会話が聞こえた。
『知ってるか?すぐそこの村で盗賊団が捕まったらしいよ』
『へぇ、そうなんだ~。きっとその後、魔獣とスタッフ全員が美味しく頂いたんだろうね』
『あはははははははは☆×2』
『……………』
男はゲートを閉めて、その場に倒れて空を仰いだ。少し曇りはじめていた。
『どうしようか……』
少し考えた後、男は決断した。
『真面目に働くか』
とりあえず一ヶ月分の給料を貰うまではここで働こう。
そう心に誓いながら男は立ち上がった。
『おーい交代だぞ新人』
コンコンと内側からゲートを叩く音とともに、中年の男の声が聞えてきた。
『わかった』
男は先輩に対してタメ口で返事をしながらゲートを開けた後、宿舎に戻りながらもう一度空を仰いだ。
さらば、リルト盗賊団。2ヶ月と言う短い間お世話になりました。
この恩は一生忘れません(悲)
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