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★★★
重たい瞼を押しあげると、まず最初に天井が見えた。
『ここ……は?』
どうやら誰かの部屋の様だが、何故、自分はベッドの上で寝ているんだ?
『……あ~』
思い出せないな。
男は上半身を起こして部屋の中を見渡した。
部屋の中はかなり汚れている。いや、これは荒れていると言うべきか。
壁のいたるところに傷と穴、床には分けの判らない落書きや破れた本と折れた鉛筆、壊れた家具などが転がっていた。
男が寝ているベッドも、枕と毛布以外ボロボロだった。
男はベッドの脇にある窓から外の景色を眺めた。
その窓からは東ゲートと、東ゲートの門番専用の宿舎が見えた。
方角からして、おそらくここは学園の生徒専用の宿舎だろう。
だが、この部屋の荒れ具合は異常だ。とても生徒が暮らしている部屋とは思えない。
『さっさと出た方が良さそうだな』
男がベッドから起き上がろうとした時だった。
突然、部屋のドアが開いて、金髪碧眼の少女が現れた。
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