母の死

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私にとって、母は全てだった… 父にとっても…… 私は母が死んで仕事を辞め… 父は、相変わらず仕事と、少年野球の監督に励んでいる… 母の言葉に何かを感じたのだろう… 母の事はあれから一言も口にしない……。 もくもくと毎日を生きる父を見ていると、自分が情けなくなる…… 私は未婚だ。彼女はいる。 彼女の名前は橋本泰子(ハシモトヤスコ) 母の葬式以来、会っていない… 葬式の時も…私は誰とも話す気はしなかった… 泰子は連絡もしてこない…それが私にとっては、有り難かった… だって…未だに誰とも話したくはないから… 泰子も母と親子のように仲が良かった… きっと泰子も… 辛いはずだ… でも…正直、自分の辛さが覆い被さって… それどころじゃなかったんだ… 次第に泰子との思い出は遠のいていた… 母が死んで、二ヶ月程経っただろうか… ピンポーン……… 玄関のチャイムが鳴った。 誰だろう…
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