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◇ ◇ ◇
「母様母様っ。見てください!あんなに白くて冷たいものが降っているの!」
「ええ、たくさん降っていますね。でも触るのなら手袋をなさいな。雪はね、とっても冷たいのよ」
「これが雪、なんですね」
「そうよ」
「わかりました母様。でも手袋は着けたくないです」
「どうして?」
「だってせっかくの雪がさわれなくなります。もう少しさわっていたいです」
「そう。なら手を繋ぎましょう。温かくなるわ」
「でも私の手は冷えてしまいました。今つないだら母様の手が冷えてしまいます……」
「良いのよ。しばらくすれば直ぐに温かくなるから」
「……ううん、私は大丈夫です。それより、外へ行ってもいいですか?」
「駄目よ。危ないからもう少し大きくなってからね?」
「……はい母様。今はここから見るだけにします」
「それが良いわ。ねぇ、綺麗でしょう?」
「はい、綺麗です……とても」
私は雪に夢中だった。
本当は外に出て良く見てみたかったけど、母様が駄目と言ったから今は駄目なんだと思った。
だから私は手を一生懸命に窓から伸ばし、1つでも多くの小さな小さな天の欠片を受け止めようとしていた。
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