星物語~出会いの前に~

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「な、なんだこの風っ痛──っ!?」 「うぎゃあ!」 「な、何が起こってる!?」  その突風はただの風ではなかった。ヒューと風が吹けば、たちまち盗賊達に裂傷が刻まれていく。 「何しやがったガキ!」  と、少女に掴みかかろうとした盗賊も、即突風に吹かれ、ぼろぼろになり倒れ伏した。  そうしている内に、いつの間にか盗賊達は皆沈黙していた。……させられた、と言うのが正しいが。 「……ご苦労様、風音【カザネ】」  少女は右手をすっと挙げる。  すると散々暴れまわっていた風は大人しく少女の元へと集まり──  姿を現した。 「キュ~」  そんな可愛らしい鳴き声を発するのは、白い鼬。これがさっきの突風の正体だ。  その鼬は真っ白。例外は背にある朱の大きな×模様、異様に太く長い黒爪と、人懐っこそうなくりくりした黒の瞳だけ。  全長三、四十センチ程。細長い身体だが、か弱い印象は受けず、逆に力強さのようなものを感じる。存在感のある爪や可愛いだけじゃない活きた目の黒によるものか。
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