星物語~出会いの前に~

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 この鼬は鎌鼬。風を司る魔物でとても素早く、その爪は鋭い。 「……偉い、偉い」  少女は片手でフードを外した。覗いた顔は意外と可愛らしい。良く見れば、柔らかく微笑んでいることがわかる。  少女は右腕に乗った鼬を優しく撫でた。彼女は動物好きなのかもしれない。少女の顔は綻んだ。 「偉いよ……」  何故少女が「偉い偉い」と繰り返しているのか。  それは、鼬がちゃんと盗賊達を大怪我させることなく、戦闘不能に出来たから。  鎌鼬は風も爪も鋭い。手加減は難しいのだ。  だから少女は褒める。 「……良い子、良い子」 「キュゥー」  鼬も喜んでいる。  二人の関係は良好なようだ。 「……頼んでも?」 「キュー!」  頼み事して良い?と少女が聞き、勿論!と答える鼬……という解釈で合っているのだろうか?  ただ、二人の間では意思の疎通は滞りない模様。
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