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「……次の、村……探して」
「キュー!」
承知!とばかりに鼬は少女の手から飛び出した。
風に乗り、高く高く空へ。
そして即行で戻って来た。
「キュー!キュー!」
鼬は少女の肩に乗ると全身を使って道の先を指す。
「……もうすぐ、着く?」
「キュキュー!」
うんうんと言うように頷く鼬。それで少女には伝わったらしい。
「うん……ありがとう」
「キュ~」
少女がよしよしと撫でると、鼬は短い尻尾を精一杯に振る。嬉しい!というように。
「……帰って、良いよ」
と、少女は許しを出すが、鼬は帰る素振りを見せない。少女は少し思案すると、最終的に苦笑した。
「……もう少し、だけ」
「キュー!」
結局少女は鼬を肩に乗せたまま歩き出した。足元に転がる盗賊達を見事スルーして。
次に出会う人達に思い馳せて。
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