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「ちょっと!」
可奈はずかずか、と男達に近付く
彼らもそれには気付いたようで、可奈を振り返る
ピアスの男だけはもともと可奈の方を向いていたが
「ん?なんだよ」
茶髪が応えた
「その子、今学校に行く途中なの、わからない?」
わざと挑発がましく言ってみた
これにノってくれば、なんとかなる
人通りの少ない今の時間帯でも、騒ぎになれば、さすがに近所の人が気付くだろう
が
「へえ…君も可愛いね」
「…は?」
茶髪の言葉に、可奈は目を丸くする
と、茶髪にガッシと腕を掴まれる
「え、や、ちょ…」
―――う、嘘、ちょっと待って…
「少し気が強そうだけど…」
「バッカ、おまえ、そういう子ほど鳴かせると可愛いんだよ」
いつの間にか、ツインテールの女の子もボサボサに腕を掴まれてしまっている
恐怖のためか、瞳からは涙が溢れている
―――やば…こんなはずじゃ…
可奈は自分の浅はかさを呪った
だが、呪ったところでどうにかなる事でもない
―――こんなチャラい男なんかにヤラれて…
「たまるかってんの!」
右足で思いっ切り茶髪のすねを蹴ってやった
しかし、掴まれる力が弱まる気配は無く、代わりに両手を掴まれてしまった
「いってえなこのアマ!」
ドムン、と脇腹に鈍い痛みが走る
それが、自分が蹴られたからだと気付くのに、長くはかからなかった
「おいおい…」
ボサボサが呆れたようにため息をつく
「っせーな!こんぐれえやんなきゃ黙んねえだろ!」
―――こいつら…容赦なんてしてない…本気だ、犯される…
可奈にも、恐怖が湧いてきてしまう
その時、可奈の手を掴んだ茶髪の手に、誰かの手が添えられた
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