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「…んあ?」
カーテンから漏れる朝日で、少女…沖原可奈は起きた
時刻は6時20分
いやに早く起きてしまった
「ふぅ…あぁ…」
開き切らない目を擦りながら、ベッドから降りる
可奈は残念ながら二度寝が出来ない
一度目が覚めると、しばらくは覚醒したままだ
―――あの夢…最近よく見るなぁ…
可奈は夢の内容をはっきり覚えていた
幼い頃…といっても小学一年生の頃だが、可奈には大好きな男の子がいた
その男の子とは、幼稚園で知り合い、うまが合ったので、よく遊んでいた
それは小学生になって、クラスが別れても同じだった
そして、一年生の秋
可奈と男の子は、いつもの場所で遊んでいた
並んでブランコに乗ったり、滑り台を一緒に滑ったりした
とても楽しかった
それまでも、ちょくちょく遊んでいたのだが、その日はなんだかそれまでより格段に楽しかった気がした
それは、その後に知る事を、なんとなく感じ取っていたのかもしれない
それが、最後だと
男の子は遠くに引っ越してしまった
だがその遠くがどこだかを知ることはなかった
可奈は自室のドアノブに手をかけながら、あの男の子は今も元気にしているのだろうか、と気になった
あの日した約束を、覚えていてくれているのだろうか
「『君の事忘れないよ』…か…」
思えば、あれが初恋だ
女の子の初恋は不思議だ
それこそ、幼い頃だったり、就職してからというのもいるし、すれ違ったイケメンという人もいる
淡く、幸せな思い出
「『あお』…今…どこにいるのかな…」
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