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とりあえずブレザーは放置して、可奈はリビングへと戻る
―――5分ってことは、『あれ』か
裕美がよく作る、大急ぎ用の手抜き料理
『杯拉麺』
はいはい、カップラーメンですね
「砂時計落ちた~?」
すでに作っている物がわかっているので、可奈は敢えて要領を得ない言い方をした
「あとちょっ…はい落ちた~」
というのでテーブルの席につきます
「はいよ、杯拉麺一丁」
「いただきま~す」
「あれ?ちょっと、『ちゃんとカップラーメンて言わんかい』みたいな絡みは?」
「無い」
朝から母親と漫才をするつもりは無い
とりあえず杯拉麺をたいらげ
え?ちゃんと言え?
とりあえずカップラーメンをたいらげ、可奈は自室へと戻る
ブレザーを着て、可奈はいっぱしの女子高生となった
全身鏡の前で、リボンが歪んでないか、寝癖を少し直して、ペッタンコ…あ、いや、胸じゃなくて鞄ね…え?最初から間違えてない?こりゃまた失礼
ペッタンコの鞄を持って玄関に行き、新しい靴を履いた
「じゃ、行ってきます」
どたどた、とリビングから、見えぬ足音とともに裕美が近づいてくるのがわかる
「いってらっしゃい」
微笑んで可奈を見送る
裕美
その微笑みに、なにか含みがあるような気がしたが、スルーした
「じゃ、また入学式で」
「はいは~い」
そして可奈はドアを開けて、旅立った←ちょっと大袈裟
娘を見送った後、裕美はにやり、と意地悪っぽく微笑んだ
「ふふ…さて…いきなり『あの子』に会って、どう思うかしらねぇ…」
なんか企んでいた
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