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さて、通学路を歩く可奈は、すれ違う元同級生達と挨拶を交わしながら、これから通う学校を目指していた
と、一人の茶色のショートヘアの少女が小走りで駆け寄ってくる
「おっはー、可奈」
「ん、ああ、伊綱、おはよー」
「んえぇ!?おっはー、て言われたらおっはーで返しなよ!」
「けっこう古くない?」
「古くない!」
と言い張る、流行が古いこの少女は
舟木 伊綱(フナキ イヅナ)、可奈の親友である
やたらとかっこいい名前だが、お父さんがそういう趣味らしく、女が産まれようが男が産まれようが、この名前にしようと決めていたらしい
それがある日の家族会議で告白された時、舟木家は戦場になったそうだ
でもまあ、お互い仲が良いので、同じ学校を受けて、合格したと聞いた時は、二人して抱き合って喜んだ
というわけで同じ制服なのだが
伊綱の方が家が近いはずなのに、何故わざわざ逆走しているのだろうか
多分…
「いや~、一人で可奈を待ってんのも淋しくってさぁ、つい来ちゃった」
「だと思った」
こういう子だ
可奈は微笑んだ
というわけで
可奈と伊綱は一緒に登校している
春休みの間の勉強とか、どこかに遊びに行ったとか、雑談をしながら歩いていた
と、伊綱が胸の前で手を叩く
「そうだ、可奈、知ってる?」
可奈は首を傾げる
伊綱は上半身を可奈の方に向ける
「今年からハルコー、共学検討するらしいよ」
「えっ!?」
ハルコーこと
春桜市立春桜高等学校
(シュンオウシリツシュンオウコウコウ)
可奈と伊綱が向かっている学校である
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