203人が本棚に入れています
本棚に追加
「まったく、いつかハルコーの理事長に会ったらヤンデレ漫画見せてやる…」
「なんで?」
「『共学にするとこーゆー事起こっちゃうよ』的な意味合いで」
とかいう会話をなしていて、入試の時に覚えた道に出た
パン屋の看板が見えるので、あと5分程でハルコーに着くところだ
が
「……あれ?…可奈…あれ、ハルコーの制服じゃない?」
と伊綱が耳打ちしてきた
確かに、あれは今自分達が着ている制服と同じ物だ
綺麗なピンク色のツインテールをした子だ
だが
明らかに様子がおかしい
見た事の無い制服の男子高校生三人に囲まれている
ツインテールの子は涙目であちこちに視線を飛ばしている
ぼそぼそと何かを言っているようだが…
「『たすけて』…」
伊綱がそう呟いた
「え?」
「読唇術、細かい動きでもだいたいわかるの」
なんともすごい能力だなと伊綱に感心したが、そんな場合ではない
「助けてって言ってるんだから、助けなきゃ!」
「え!?ちょ、可奈!?」
伊綱は、急に走り出した可奈の後を慌てて追う
―――あちゃー、可奈の良いんだけど悪い癖が…
「君、ハルコーの子?」
「可愛いね、ねえ、俺達と一緒にどっか行かない?」
黒髪ボサボサの男と、黒の混じった茶髪を立てた男が前傾姿勢でツインテールの女の子に話しかける
女の子はオロオロしているため、何も言えない
もうひとりは黒髪だが、耳にピアスをして、女の子を見据えている
「あ…あの…学校がある…ので…」
恐怖の中、必死に捻り出したであろう、か細い声だった
だが、そんな声を聞こえないフリをして、二人の男はさらに女の子に詰め寄る
最初のコメントを投稿しよう!