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「あ゛~、ダリぃ~」
太陽が痛いほど照りつける中、私の家では一匹の蝉が死にかけていた。
「暑いからって冷たいものばっか食べるからだよ」
だらしなく床に寝転がる蝉は、夏バテで何時もの元気がない。
TVでは、アナウンサーの人が猛暑による被害状況をのほほんと伝えている。
「うわぁ、熱中症で3人死亡だって。蝉、良かったね夏バテで」
「・・・・・もしかしたら報道されてねぇだけで、実際には夏バテで4人死んでるかもしれねぇだろ」
「あ、それもそうか」
確かに蝉は夏死ぬものだ。
「元気そうに鳴いてるのにね・・・・・」
最近昼と夜の食事も量が少ないし、体温も高め。
蝉も一応人だから、本当に暑さで死ぬのかも。
「蝉は死ぬけど、蝉は死んじゃ駄目だよ」
「・・・・・何だそれ」
蝉はこっちを睨んできた。
・・・・・心配してあげてるのに。
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