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「不思議なことに、お兄さんには見えないでしょ? “干渉の手袋”っていう透明な手袋があってね、これが無いと僕、案内出来ないんだ」
僕には見えてるよー。そう言い足しながらリンはニコニコと笑った。
「あ、そうだ。ついでだからお兄さんの《ゼロ症候群》について説明しておこうか」
リンはふとそう思いつくなり、説明を始めた。青年は“ゼロ症候群”という単語に首を傾げる。
「大きく分類すると、2種類あってね――」
1つは、原因不明でいきなり発症してしまうという厄介な《自然型》。発症に対する条件や回避方法などは一切不明である。
もう1つは、突然の絶望や悲劇、若しくは当人の心が今までで積もった負担に耐えきれなくなった時に発症する《感情型》。
青年は《感情型》に該当すると説明した。
「感情型はね、心の中――内部に葛藤が生じるんだよ」
「? 葛藤?」
「うん、かっとー」
発症の原因となってしまった記憶は一言で表すと不幸な出来事・記憶だ。しかしその裏には幸せな記憶があることが多い。
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