第一話 【風に揺れるは桃の花】

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町の広場には人だかりが出来ていた。 その中央にはスーツの赤黒い顔をした大男が立っていた。その後ろに強面の男達が取り巻いている。 「劉備はいるか。」 よく通る、迫力のある声だ。 益徳「何もんだぁ?てめぇは?」 「私は長生と言う…。」 ざわつく民衆達。長生とはこの界隈で知られた、ヤクザの大親分である。 長生「…、私に恐れをなして劉備は逃げたか?」 益徳「貴様ぁ!うちの兄貴はなぁ…!」 激昂する益徳を抑える玄徳。 玄徳「劉備に何か用でも?」 長生「この辺りを治める劉備はどこだ?」 玄徳「あいつは忙しいんだ。」 玄徳はまだ耳を撫でている。 一種の癖なのだ。 長生「この辺りを治める劉備に聞きたいのだ…、今のこの国をどう思うのかをな。」 玄徳「あいつは何も考えちゃいないよ、今が楽しければいいという主義でね…。」 その長生の目の色が赤みを増していく…。同時に周囲に緊張が走った。
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