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光姫が急変してから7日後の、6月16日―。
梅雨独特のじめじめした日だった。
光姫は、天国へ旅立った。
俺は、突然の喪失感から、すぐには光姫の死から立ち直れなかった。
光姫がいなくなったことを、受け入れるのが怖かった。
きっと俺は、精神病者のように見えたと思う。それだけ、光姫の存在が大きかったということなんだろう。
2年後―
俺は光姫との約束通り、専門学校に入り、資格を取った。
光姫との約束、それは、人を助ける職業に就くこと。
俺は介護ヘルパーという資格を選んだ。
現在俺は、とある施設で介護職員として働いている。
今日は光姫の命日。俺は、光姫の墓にやってきた。
花を供え、線香を焚いて、手を合わせた。
「光姫…。俺、約束守ったよ。
もう心配しなくて大丈夫だからな。一人でやっていける。」
俺は墓に向かって語りかけた。
無償に、光姫の声が聞きたくなった。
でも、俺は光姫の分まで生きていかなきゃな。
「また、来るからな。」
俺はそう言って墓を去った。
俺は、君のことを忘れないだろう。
この先も、ずっと。
完
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