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「おはよ」
「なんだ、憲哉か」
ある日の朝。いつもと何も変わらない1日が始まろうとしていた。
ぼんやりと窓の外を眺めていた俺は、親友・塚崎憲哉(つかさきけんや)に話しかけられて我に返った。
「ずいぶん浮かない顔してんじゃん。何か考え事か?」
憲哉はそう言って俺の前の席に横向きに腰かけた。
「いや、別に何もないけどさ。
最近、こんな息の詰まる生活して勉強してまで、大学とか行く意味あんのかな~って思うんだよな。
いまさらだけど。」
「ま~な。この高校は進学校だから、行事とかほとんど無いし、授業は詰め込むだけ詰め込むって感じだしな。解らなくもないよ。
俺もさ、大学進学は辞めようかなって思っててさ。」
「え、何でだよ?」
「お袋がさ、持病再発で入院しちまったんだ。
親父は心配しないで勉強だけしてろって言うけど」
「大変なんだな。
で、お前は高校卒業したらどうすんだよ?」
「とりあえずは、就職かな。」
「そうか。頑張れよ」
「おぅ」
そう憲哉には言ったものの、俺は焦りを感じていた。
憲哉は憲哉なりに、いろいろ考えていることに。
それに比べて、俺は何してんだ?
自分が情けなくてしょうがなかった。
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